vol.3 しょ→トオイ
しょ的 erectする音楽



<しょの選曲>
1. Jumpin' Jack Flash / The Rolling Stones 『Jumpin' Jack Flash』(1968)
2. Be Together / 鈴木あみ 『Be Together』(1999)
3. Coopers World / Squarepusher  『Hard Normal Daddy』(1997)
4. Joy Rider / Wayne Shorter  『Beyond The Sound Barriar』(2005)
5. Hannibal / McCoy Tyner  『Live In Montreal 1982』(1982)
6. Jazz / Galliano  『Live at Liquid Room』(1997)
7. Brazilian Rhyme / Earth Wind &Fire  『All'N All』(1977)
8. 麝香 / 小沢健二  『Eclectic』(2002)
9. An-Noor / David T. Walker  『Live in Tokyo at Cotton Club』(2007)

2008.6.1.
酒井匠


<トオイの感想>

はい。
vol.2の時点で、しょくんが"ぼくはやはり音そのものより、その楽曲のコンテクストにerectしてるんだ、という残念な事実が……"と自分で言ってしまっているけども、先に言うなよ!(^_^;)それである意味完結してるじゃないか。という気もする。が、ぼくも感想を書きます。

M-1。ぼくはRolling Stonesをほとんど聴いてきていません。自分に"ロック"が欠如しているというのであれば、ストーンズに手をのばそうとしないことがそうなのかもしれません。コンテクストとか音とか関係なく、「ああ、ストーンズか、、」としか未だに聴けなかった!

M-2。これは、あれかな、音しか聴かなかったら別にerectしないのかな。前にしょくんも含め数人のなかで、"木村カエラと鈴木亜実とどっちがかわいいか"という話になったけど、ぼくは木村カエラは彼女のうただけでもerectする。鈴木あみ(当時)はうただけでは難しいところ。でもうた以外も含めれば……。

M-3。ドラムンベースは確かにぼくの中でもerectする音楽でした。ほとんど詳しくは知らないけど。Squarepusherは生演奏というか、ベースも弾くんだっけ。それも肉感度を増している気がします。

M-4。ジャズのerect感、というのはまた難しくて、というよりも、ぼくは個人のうたごえや、アンサンブル内の一部分(カッティングとかシンセのふわふわ感とかベースの音色やリフのグルーヴそのもの)にフェティッシュなものを感じるほうがたぶん多くて、このようなグループの緊密感や豊かさは、"erect"するというイメージではない。でもすごいかっこいいしクールだと思う。

M-5。同上。しかしこれは笑える。あと、あくまでぼく個人はだけど、笑えてしまうとerectしない。笑えてかつerectできる感性というのは課題だな。

M-6。同上。これも笑える。

M-7。というわけで、上記のことを踏まえて、Earth Wind & Fireはぼくはほぼ完璧にerectします。暗さや業の深さが表立っては見えないところだけがほぼ、という言い方になるんだけど、たぶんぼくが見えてないだけだと思います。アース絡みの人たちが参加しているDeniece Williams『This is Niecy』もかなり良いです。

M-8。これは哀しい。哀しいです。

M-9。これは惚れる。メロメロです。

言えるのは、erectというような感じで一致したのはM-7くらい。ほかも、もちろんいいなと思ったり高揚したりはするんだけど、ぼくのなかでのerectとは少し別でした。これはぼくの番で同テーマをやったほうがおもしろいんだろうか。それとも誰も見たくないかな。


2008.6.4.
トオイダイスケ


<しょのリターン>

感想ありがとー。
これは返事がしたくなった!
(異議あり!ってわけじゃなく、お話したくなった、というかんじ。)
えっとですね、僕はそもそも「音に勃起する」という体験がなくて(たぶん)、自分なりにお題を反芻するうちに、結果こういう形になってしまったのね。で、

> vol.2の時点で、しょくんが"ぼくはやはり音そのものより、その楽
> 曲のコンテクストにerectしてるんだ、という残念な事実が……"と
> 自分で言ってしまっているけども、先に言うなよ!(^_^;)それであ
> る意味完結してるじゃないか。

すいません。そういう事情だったもので。
とはいえ、全部が全部そうってわけでもなくて、例えば、

> M-1。ぼくはRolling Stonesをほとんど聴いてきていません。自分に
> "ロック"が欠如しているというのであれば、ストーンズに手をのばそ
> うとしないことがそうなのかもしれません。

これはもう完全に、アガるよね。
ロック、反体制、勃起!みたいな話ではなくて、性衝動に近いものを突き動かされるし、なんつーかこう汗とかフィジカルなものとリンクしていて、それがしかもただ「エキサイトする」とも違った感触で、それを自分なりのerectと解釈した次第です。

> コンテクストとか音とか関係なく、「ああ、ストーンズか、、」とし
> か未だに聴けなかった!

不思議ー。そういうもんかねえ。
木村カエラの話じゃないけど、ストーンズだから燃えるとかストーンズだからロックだとかでは、ないんだよあー。

> M-3。ドラムンベースは確かにぼくの中でもerectする音楽でした。
> ほとんど詳しくは知らないけど。Squarepusherは生演奏というか、
> ベースも弾くんだっけ。それも肉感度を増している気がします。

非常に同意。
且つ、ベロベロのときにこんなものがクラブでかかっていたら、ぜったい目の前にいるかわいい子といたしたくなるよな、というのが(これも文脈っちゃ文脈だし、でも感覚っちゃ感覚じゃない?)、この曲の「しょ的erect」の意図でもありました。

> M-4
> ジャズのerect感、というのはまた難しくて、
そうだねえ。

> このようなグループの緊密感や豊かさは、"erect"するというイメ
> ージではない。

もちろんシリアスな音楽ではあるんだけど、緊密、濃厚でありつつも、「切磋琢磨、真剣勝負」ではない気がするのね。
インタープレイとセックスを重ねるのはあまりに陳腐だと思うけれど、この人たちの信頼関係と、メンバー間でのイタズラ的遊び心と、聞いている方の恍惚 (「うおーー」となるのは、「今理論上すごいことがおこった!」ではなくて「はぁぁぁん...」じゃん。説明になってないけど。) は、「erectする音楽」というカテゴリがあるのならば、その中に入れて差し支えない、と思った。俺は。
ちなみに、某ス氏はコレで4回くらいオナニーできると言っていた気がした。

> M-5。
> あくまでぼく個人はだけど、笑えてしまうとerectしない。笑えてか
> つerectできる感性というのは課題だな。

うん。これは笑える。笑えるからerect、ってわけではないけど。
これは、うーーーーむ、スタミナと汗かな。
情熱的な女の子から見た、抱かれたい男臭さというか。あ、で、そこには「笑える」の要素も含まれているね。

> M-7。というわけで、上記のことを踏まえて、Earth Wind & Fire
> はぼくはほぼ完璧にerectします。

やっぱりー。一致するのはこういうことだろうなと思った!

> M-8。これは哀しい。哀しいです。

哀しいerectってのもあります!
これは、僕の中では、アース以上に、言葉通りのerectに近いかもしれない。
もう関係が崩壊している相手と、だったり、後味の悪い相手や倫理的に疑問のある状況で、だったり、歪んで人格破綻しそうな状態でもうわけわからなく、だったり、泣きながらコトを致すような、もう食べたものを吐き出しそうな状態なのにerectしていて出来ることなら切り落としてしまいたいだとか、そういう感覚。場合によっては女の子に手を上げてしまったり、ちょっと人殺しの気配すらするような。
って、だめだ。説明すればするほど俺があぶない人になってゆく。
実際にそんな体験はないですけれども。
なので、形而上の↑を挙げているところも、やっぱりコンテクストにerectしているって話なのかもしれないけれど。
もうちょっときれいな言い方だと、文学的なerectというか。(←これでどうすか??)

> もちろんいいなと思ったり高揚したりはするんだけど、ぼくのな
> かでのerectとは少し別でした。

予想通りです。

> これはぼくの番で同テーマをやったほうがおもしろいんだろうか。
> それとも誰も見たくないかな。

それはすごい思ったんだけど、3、4ターン目でいきなり同じお題返しってのも脳がないなーと思ってやめました。
忘れたころにふるね!

では、vol.4、お待ちしてます。
高田馬場に、関内に、朝までいちゃったあと、社会復帰しなきゃいけない葛藤と、フィジカルな具合の悪さの中、落ち着かせてくれるもよし、ポジティブにやる気にさせてくれるもよし、「俺はなにやってんだろう」に陥らない程度にちょっとのおセンチさの余韻をくれるもよし、そんな通勤時間約60分を彩る一枚、期待しております。
あ、お題を具体的にしすぎちゃったか...。


2008.6.12.
酒井匠


<トオイのリターン>

どうも。メールありがとう。

> 感想ありがとー。
> これは返事がしたくなった!
> (異議あり!ってわけじゃなく、お話したくなった、というかんじ。)
というわけで、ぼくもお話します。

> えっとですね、僕はそもそも「音に勃起する」という体験がなくて(
> たぶん)、自分なりにお題を反芻するうちに、結果こういう形になっ
> てしまったのね。
どうも思ったのだけど、erectという"ことば"をぼくが気軽に提示したわけだけど、結局今回は"ことば"の問題な気がしてきた。
しょくんの返事を読んでいると、ある程度はぼくが何となく定義しているerectと一致しているようにみえる。
これはなかなか難しい、というか普遍的すぎるテーマだったかもしれない。でもこうやって話し合う題材としてはおもしろいね。

>> M-1。
> これはもう完全に、アガるよね。
> ロック、反体制、勃起!みたいな話ではなくて、性衝動に近いもの
> を突き動かされるし、なんつーかこう汗とかフィジカルなものとリ
> ンクしていて、それがしかもただ「エキサイトする」とも違った感
> 触で、それを自分なりのerectと解釈した次第です。

>> コンテクストとか音とか関係なく、「ああ、ストーンズか、、」と
>> しか未だに聴けなかった!
> 不思議ー。そういうもんかねえ。
> 木村カエラの話じゃないけど、ストーンズだから燃えるとかストー
> ンズだからロックだとかでは、ないんだよあー。

ここでしょくんが言っているerectとぼくの定義するerectは大して違いません。ただ、細かいところをつつくとすれば、アガるけど、性衝動とは言い切れない。というか結構違う。フィジカルではあるかもしれない。
ストーンズだから、というのが、音以外の文脈を含んでerect、という意味だったら、それも同意します。
ことばをちゃんと勉強していない感が大だけど、ぼくのなかの音楽的erectは、"エロスやタナトスを強く刺激する"ということかもしれません。
しかしなぜストーンズが聴けない、感じないんだろう。こんどストーンズ大会を開いてもらえたらうれしいです。

>> M-3。ドラムンベースは確かにぼくの中でもerectする音楽でした。
>> ほとんど詳しくは知らないけど。Squarepusherは生演奏というか、
>> ベースも弾くんだっけ。それも肉感度を増している気がします。
> 非常に同意。
> 且つ、ベロベロのときにこんなものがクラブでかかっていたら、ぜっ
> たい目の前にいるかわいい子といたしたくなるよな、というのが(これ
> も文脈っちゃ文脈だし、でも感覚っちゃ感覚じゃない?)、この曲の「
> しょ的erect」の意図でもありました。

エロスとかタナトスとかえらそうに言ったけど、これもまたそうです。

>> M-4
>> ジャズのerect感、というのはまた難しくて、
> そうだねえ。

>> このようなグループの緊密感や豊かさは、"erect"するというイメ
>> ージではない。
> もちろんシリアスな音楽ではあるんだけど、緊密、濃厚でありつつ
> も、「切磋琢磨、真剣勝負」ではない気がするのね。
> インタープレイとセックスを重ねるのはあまりに陳腐だと思うけれ
> ど、この人たちの信頼関係と、メンバー間でのイタズラ的遊び心と、
> 聞いている方の恍惚 (「うおーー」となるのは、「今理論上すごい
> ことがおこった!」ではなくて「はぁぁぁん...」じゃん。説明になっ
> てないけど。) は、「erectする音楽」というカテゴリがあるのなら
> ば、その中に入れて差し支えない、と思った。俺は。
> ちなみに、某ス氏はコレで4回くらいオナニーできると言っていた
> 気がした。

ジャズは、演奏する立場の心境になって聴いてしまうからなのか、うーん、むしろ、リアルすぎてだめなのかな。実は。チキンだな。
でもerectするジャズがある気がする。……あ、でも、Billy Holidayとかが浮かんできてしまった。それはまた別の話だね。

>> M-5。
>> あくまでぼく個人はだけど、笑えてしまうとerectしない。笑えてか
>> つerectできる感性というのは課題だな。
> うん。これは笑える。笑えるからerect、ってわけではないけど。
> これは、うーーーーむ、スタミナと汗かな。> 情熱的な女の子から見
> た、抱かれたい男臭さというか。あ、で、そこには「笑える」の要素
> も含まれているね。

「情熱的な女の子から見た、抱かれたい男臭さというか。あ、で、そこには『笑える』の要素も含まれているね」という想像力が、ぼくには欠けているんだと思います。
"女の子的"なものでいたい、けど自分は完全にオスだ、みたいな葛藤の精神には、たぶんこたえるのだと思います。
って、ユーモアの欠如みたいな返事だな。むう。

>> M-7。というわけで、上記のことを踏まえて、Earth Wind & Fire
>> はぼくはほぼ完璧にerectします。
> やっぱりー。一致するのはこういうことだろうなと思った!

ごめんなさい(^_^;)。でもこの感覚に、自分のなかのおしゃれ系への憧れも感じました。
でもそういうの抜きにして、Earthはかっこいいと思う。

>> M-8。これは哀しい。哀しいです。
> 哀しいerectってのもあります!
> これは、僕の中では、アース以上に、言葉通りのerectに近いかもし
> れない。もう関係が崩壊している相手と、だったり、後味の悪い相手
> や倫理的に疑問のある状況で、だったり、歪んで人格破綻しそうな状
> 態でもうわけわからなく、だったり、泣きながらコトを致すような、
> もう食べたものを吐き出しそうな状態なのにerectしていて出来るこ
> となら切り落としてしまいたいだとか、そういう感覚。場合によって
> は女の子に手を上げてしまったり、ちょっと人殺しの気配すらするよ
> うな。
> って、だめだ。説明すればするほど俺があぶない人になってゆく。
> 実際にそんな体験はないですけれども。
> なので、形而上の↑を挙げているところも、やっぱりコンテクストに
> erectしているって話なのかもしれないけれど。
> もうちょっときれいな言い方だと、文学的なerectというか。(←これ
> でどうすか??)

うん。そうだね。ことばが少なくてごめんなさい(^_^;)。同意してるよ。

>> これはぼくの番で同テーマをやったほうがおもしろいんだろうか。
>> それとも誰も見たくないかな。
> それはすごい思ったんだけど、3、4ターン目でいきなり同じお題返
> しってのも脳がないなーと思ってやめました。
> 忘れたころにふるね!

うう。がんばる。

> では、vol.4、お待ちしてます。
> 高田馬場に、関内に、朝までいちゃったあと、社会復帰しなきゃいけ
> ない葛藤と、フィジカルな具合の悪さの中、落ち着かせてくれるもよ
> し、ポジティブにやる気にさせてくれるもよし、「俺はなにやってん
> だろう」に陥らない程度にちょっとのおセンチさの余韻をくれるもよ
> し、そんな通勤時間約60分を彩る一枚、期待しております。
> あ、お題を具体的にしすぎちゃったか...。

もうつくってあるので、こんど渡します。
今改めてvol.4のセレクトを見直してみると、気持ちよくはなるけど、やる気はとても出るか、逆にビール買って海にでも行ってしまえ!的なやる気が出てしまうか、賭けに出る感じでした。。
ぼくは快楽を愛します。
はい。長くなりました。ありがとう。ではまた。


2008.6.12.
トオイダイスケ


次回 トオイ→しょのお題:「寝不足二日酔いの通勤BGM」