vol.2 トオイ→しょ
しょ が持ってなさそうなやつ



<トオイの選曲>
1. サマーレイン / 木下美紗都 『海 東京 さよなら』(2007)
2. 長い髪の女の子/ 曽我部恵一ランデヴーバンド 『おはよう』(2007)
3. Once Around The Park / Paul Bley  『Flagments』(1986)
4. Vignette / Marc Copland, Gary Peacock  『What It Says』(2004)
5. Expansions / Lonnie Liston Smith &The Cosmic Echos  『Expansions』(1975)
6. Peace / Lonnie Liston Smith &The Cosmic Echos  『Expansions』(1975)
7. エチカ / GUIRO  『GUIRO Album』(2007)
8. ハッシャバイ / GUIRO  『GUIRO Album』(2007)
9. Yellow Fields / Gary Burton Quartet with Eberhard Weber  『Passengers』(1976)
10. It Never Enterd My Mind / John Lewis  『The John Lewis Piano』(1956)

2008.5.27.
トオイダイスケ


<しょ の感想>
見事にすべて持ってませんでした。さすが。
こうして聞くと、トオイダイスケの聞く音楽というのは、時代や場所やジャンルを越えたところで、本当に一貫しているというか、何か一本の線がはっきり通っているのが見えます。モード、ないし、気分が近い、というか。
ある種パキッとしたエレクトロニカと、ECMと、ふわっとした曽我部さん、みたいなものの一貫性が、なるほど、わかりました。
そのモード?気分?を無理くり説明しようとすると、うーん、「漂ってる感」というかんじでしょうか。トオイくんのよく使う「不穏」という表現も近いかもしれません。
特に印象的だったのは(いかにも俺が印象的と言いそうなチョイスで悔しいですが)、M-6、M-8、M-10。
まさか初回のオルタードステイツに『Peace』返しが来るとは。これ、Cosmic Echosさん(何者かまったくわかりませんが)の存在が絶妙ですね。こういうサウンドって、70年代ならではというか、70年代にはすごく斬新だっただろうというか、いずれにしても60年代にも80年代以降にも生まれ得ない、独特なアレで、興味深いです。
GUIROに関しては、恥ずかしながら全く存在を知りませんでした。こんな人たちがいたとは! 日本も奥が深い。
で、John Lewis。なんだこれ。新しいぞ。ジャズも時代や枠組みや形態で聞かないで、その人たちの持ってるにおい、モード、気分で聞くと、同じ時代の似たような編成でも、ぜんっっっぜん別物なんだということが良くわかります。仮に譜面におこしたら同じ理論をベースにやっているかもしれないものでも、ぜんぜん並列に扱えないね。これ、あたりまえのことなんだけど(いや、多くの人にとってはあたりまえではないな)、なかなか実感するのは難しかったりします。って、この表現で何言いたいか伝わってるんだろうか。うーむ。

さて、僕のターンは「しょ的 erectする音楽」という、何とも難しいお題を頂戴してしましました。悩んだ末、結構まとまりのあるチョイスになってしまいました。ご期待のテーマと若干ズレてる気もするけど (僕はやはり音そのものより、その楽曲のコンテクストにerectしてるんだ、という残念な事実が結構明らかになってしまっているかも)、まあ、嘘偽りのない並びにはなったと思います。ご一聴ください。
この企画、楽しいね。似ているようで全然指向性が違うし、お互いの勧めるものを良いとは思っても日頃聞こうと思うかは別問題だろうし。今後ともよろしく。

2008.6.1.
酒井匠


次回 しょ→トオイのお題:「しょ的 erectする音楽」