vol.12 トオイ→しょ
2008年を振り返って



<トオイの選曲>
1. Dindi / Antonio Carlos Jobim 『Em Minas au Vivo』(2006)
2. Palhaco / Charlie Haden, Jan Garbalek & Egberto Gismonti 『Magico』(1980)
3. where is here / shingo sekiguchi 『vusik』(2008)
4. Lotus Blossam / 渋谷毅 『solo - famous composers』(2006)
5. Virgo / 大口純一郎 『Big Smile』(2001)
6. 愛について / 矢野顕子 『Piano Nightly』(1995)
7. New Song / 矢野顕子 『Piano Nghtly』(1995)
8. つがる / まばら (2008)
9. ちかみち / まばら (2008)
10. 木曜日の椅子 / まばら (2008)

2008.12.10.
トオイダイスケ



08年5月から突発的にスタートした、酒井匠×トオイダイスケ セレクトCD交換日記。
掲示板等への反響は残念ながらまったくだったものの、お会いする人、人に「見てるよー」「XXの回、俺にも焼いてー」等々のおことばをいただき、大変に嬉しく思っております。
そんな日頃のご愛顧への感謝を込めて(?)、今回は新年特番と致しまして、対談形式でバカ二人の会話を余すところなくお伝えさせていただきます。
二時間に渡る妄言の嵐を、たっぷりとお楽しみくださいませ。

* 文中人名は敬称略とさせていただきました。ご了承ください。


ト「というわけで、どうも。えー59分20秒になりました。(*)」
酒「すばらしい。」
ト「2008年を振り返って、だよね。」
酒「ええ。」
ト「じゃあ、一曲ごとに止めて話していこうか。」
酒「おう。」

* 対談当日は2008年12月中旬で、しょくんは翌日仕事だった。この時報は、おそらく01:59:20を示していると思われる。(トオイ)
* そうなの? CDの収録時間じゃなくて? (酒井)




1. Dindi / Antonio Carlos Jobim 『Em Minas au Vivo』(2006)

酒「ジョビンですね。」
ト「あのね、なんつーかこのアルバム自体が流行ったというか、gate one(*1)まわりで聞いてたっつーのもあるんだけど。去年、2007年の年末に見たライブで、すごいいい”Dindi”をやってた人がいてね。だから、それから今年のはじめはもう、こういう気分だった。」
酒「やっぱりさ、一年を振り返るというと、結局思い出リンク系が一番強くなる。」
ト「まあ、そういうのと、途中から、自分で作ってみて、あ、やっぱり2008年は音楽まわりはこういうことだったな、と思っちゃったんだけど。じきによりそういうのが出てくるけどさ。これ聞いたことある?」
酒「ない。はじめて。」
ト「これはジョビン (Antonio Carlos Jobim = comp, vo, g, p) の、72年ごろの、リオかどっかでのソロ弾き語りライブ。こういうアルバムが出てんの。」
酒「最近出たの?」
ト「たぶん08年か07年の終わりくらい。」
酒「しかし08年は速かったなあ。」
ト「でも正月のことなんか大昔のように思うよ。あ、で、一回止めるか。でも同じ気分だからそのままいこう。同時期に聴いていたのが、」

*1: gate oneは、高田馬場にあるジャズ中心のライブハウス。よいお店です。(トオイ)



2. Palhaco / Charlie Haden, Jan Garbalek & Egberto Gismonti 『Magico』(1980)

酒「これも知らないかも。誰だかは何となくわかったけど(笑)」
ト「これは『Magico』というアルバムがあるんですよ。チャーリー・ヘイデン (Charlie Haden=b) と、ヤン・ガルバレク (Jan Garbarek=sax) と、エグベルト・ジスモンチ (Egberto Gismonti=g, p, etc.)。これはエグベルト・ジスモンチがピアノを弾いてるんだけど。」
酒「ほう。嗚呼...。なんかすごくつまらない言い方ですけど、普通にグッドミュージックを聞いているなあ。これ、良いね。」
(しみじみ聞く)
酒「あ、わかった。だからさっきの菊地成孔 (sax, etc.) バンドの話というのは、チャーリー・ヘイデンみたいなことでしょ?(*1)」
ト「へ?そうかな?(苦笑)」
酒「や、別にチャーリー・ヘイデンがジャズメンかどうかというような事ではぜんぜんなくて、例えばブレッカー (Michael Brecker=sax) のコンセプチュアルなバンドにデイブ・ホランド (Dave Holland=b) がいると違うよね、そういう感じのサウンドにはならない、という。そこにチャーリー・ヘイデンがいるからそういうことになっている、という。」
ト「まあ形としては同じだね。」

*1: クインテット・ライブ・ダブに於ける鈴木正人(b, etc.)さんの必然性について、話していました。(酒井)

ト「その、さっきのやつの気分の続きで、これ (=『Magico』) すごく気に入って聴いてて。」
酒「これ、いいなあ...。」
ト「こういうバンドをやりたい、と思った。結果、四月の大口 (純一郎=p) さんと (橋本) 信二 (=g) さんとの三人でやったライブっていうのが、こういう気分とつながってんの。こんなふうにできたかどうかは別としてね。これが08年のはじまりだったの。」



3. where is here / shingo sekiguchi 『vusik』(2008)

酒「はいはいはい。この時点 (=イントロ5秒) でわかった俺偉い。録ったのも08年だよね?」
ト「そうそう。一月。というのもあるし、ひとつの成果だなあと感じる。いい悪いはいろいろあるだろうけど、この曲は何も決めないで10何分こういうことになって、僕はわりと気に入ってるんだよね。あとは、車とかで聞くとベースが聞こえないんだけど、こうやってちゃんと聴くと、ベースの音がわりと僕は好きだ。(*1) つくづく堅い音で弾けないんだなと思うけど。」
酒「たしかに、この曲がいいってのは、わかる。この(アルバムの)中から1コ選んでこれというのは。」
ト「うん。」
酒「でもなんかそれって関口 (慎悟=g) 的な度合いが薄いからって考え方もあるよな。や、関口的なものが活きているとは思いますけど、ど真ん中ではないと言うか。関口慎悟世界の真ん中ではないというか。」
ト「ああ。vusikでいつも思うのは、ひとりひとりのいろんな感じ、いろんな種類の草が生い茂るような感じになるんだよね。」
酒「それはいいことだよね。」
ト「アルバムの中で、そういう要素が自然にちゃんと出てるなとは思うよね。これは。」
酒「マサくん (天倉正敬=ds) もジャズっぽいしね(笑)」
ト「なんかね、その、ジャズっぽいって話で言うと、他意があるように聞こえちゃあれなんだけど、他意はなく、そういう感じは最近は薄れてる。マサさんは。(最近の演奏を聴いたり、いっしょに演奏したりして) へー、と思うけどね。」
酒「もともとジャズっぽい人ではないからね(笑)」
ト「ただ、僕のアレもあったのかもしれないけど、再初期トリオでやってたじゃん。その頃はもっとすんなりジャズだった感はあるよ。全体が。」
酒「や、そう思わないっすよ僕は。」
ト「あそう?」
酒「あれは良い意味でバラバラだったと思う。だから面白かった。」
ト「バラバラの良さはあったね。でも、一度もやりづらいと思ったことない。」
酒「わかる。だからそれが破綻しているじゃなくて、バラバラで良いという風に見えていた。」
ト「だから、vusikに歴史あり、だとは思うね。」
酒「やっぱりさ、ライブをMDで録りましたってのは (それはそれで意味が) あるけど、こういうもの (=レコーディングされたCD) をちゃんと残してくというのは大事だよね。歴史あり、ということだけでもさ、こういう形を1個作るというのは大事だなと思う。」
ト「うん。しかるべき形でこういう風に残すというのは、大事だなと思うね。だから来年出る予定のアルバムというのがどうなるのかは、非常にどきどきしているところ。」
酒「弾いてるの?」
ト「や、これから録るの。どうなるんだろう。また別の緊迫感が出る気がするね。」
酒「あ、話がすごく逆説的になりますが、どんだけ時期が違おうと、細かい人 (=演奏メンバー) が違おうと、ぱっと聞いて同じものに聞こえると思うんだよね。」
ト「それはいいことだよ。」
酒「『ここがこうだから』『こうでこうなるとこう』とか『こういう気持ちだからこう』って、それをきちんと感じ取ろうと思って聞かないと実はわかんなかったりするんじゃないかな。人のタイプにもよるんだろうけど、やっぱりそういう、や、だめだこれは悲しい話になる(笑)」
ト「(苦笑)」
酒「メンタリティが一番エンドユーザーに伝わりにくいよね、という。」
ト「でもね、話がちょっとズレるかもしれないけど、今の、その"エンドユーザー"にとって、という意味で言えば、(演奏者側の) メンタリティは本当は実は関係ないじゃん。(*2) つまるところだよ。て考えるとやっぱ、関口くんが本当にいいなと思うのは、絶対に"関口くんなもの"というのが感じられるというところだよね。」
酒「そっか。それはその通りだよね。」
ト「まずミュージシャンであるってことは、そういう絶対的な匂いみたいなのが要るなと僕は思うから。関口くんはそれがある。」
酒「そうだね。」
(曲が反転して、6/8から4/4の16beatぽくなる)
酒「こうなるとトオイはトオイだね(笑)」
ト「最近、僕こういうこと(*3)できてないです。」
酒「いやいやいや。」
ト「なんかね、いろいろ考えちゃうね。自分が過渡期にいるなって思うよ。わかんない、いずれこういうのに戻る気もするし、戻れたらいいなとも思うんだけど。もちろん一人の力でこうなってるんじゃないし。」

*1: 今のところ自分が出したい音のイメージに近かった、ということ。(トオイ)
*1: トオイくんはこのアルバムに参加しています。念のため。(酒井)
*2: 今考えると、果たして関係ないだろうか、と自問自答します。言い訳一枚目。申し訳ありません。(トオイ)
*3: 良くも悪くも、柔軟に思い切りよく演奏できてないな、と思ったということ。(トオイ)




4. Lotus Blossam / 渋谷毅 『solo - famous composers』(2006)

ト「08年は、あとは、ソロとかも含め、ピアノのウエイトが増してきたというか、音楽作りにピアノというのが根本にあるという事なり、まあ単純に、ピアノを弾こうと思ったという年ではあります。これはちなみに渋谷さんです。」
酒「ほう!」
ト「曲はビリー・ストレイホーン (Billy Strayhorn = comp, arr, p) かな。まあしかし、難しいですね (=曲が)。」
酒「うーむ。おーんがくってなーんでしょうーー。」
ト「えへへへ。なんか年末の深夜番組みたいになってるね。」
酒「山下達郎のラジオに一年に一回大瀧詠一が出るみたいな(笑)」
ト「(笑)。自分が文章を書いたりしていても思うけど、僕は匂いとか質感ていうことへの執着がたぶんあって、そういうことを感じるような音とか音楽を出せるようになりたいなというのはすごくあってさ。」
酒「うんうん。」
ト「まあ、そっちばっかりだとうまくいかないこともすごい多いなとも思うんだけど。」
酒「匂いとか質感。」
ト「雰囲気とか色気とかいろんな言い方はあると思うけど。」
酒「おんがくって何でしょうっていう話に今なったのは、うーん、難しいなあ。だめだ。なんも僕はできない。」
ト「はは。難しい話コーナーになったか。」
酒「や、言葉にすると簡単になっちゃう事は、自分の頭の中でも簡単にしか考えられてないことなんですよ。実は。」
ト「(笑)」

ト「ソロピアノブーム的なものがあってさ。前にも入れたけどジョン・ルイス (John Lewis=p, comp, arr) とか チャーリー・ミンガス (Charlie Mingus=b, p, comp, arr) とか。(* それぞれ、以前にこのコーナー(vol.2)でも紹介した『The John Lewis Piano』と、『Mingus Plays Piano』を指している) 他にもはまったものはあるんだけど。まあでも、自分の音楽を作るっていう手段というか形の問題ってのは、本当は常にあるんだけど、ちょっと08年はそれが色濃く出てきた。それは、自分が一人でやるとか自分リーダーでってのもあるけど、人とやる場合でもあってさ。そこは、いろんな気持ちがあったんだけど。ジレンマみたいなものとか。」
酒「うーん。」
ト「まあでも、言えるのは、ベースがどう以前に、ピアノを弾くことに、まああんま簡単に言えないけど、歓びみたいな、前にはなかったものがちょっと出てきたというのはある。単純に本人の中の問題としてね。」
酒「うん。僕自身は言わずもがな器用貧乏というか、何かの道を極めるということができない人で。というか、楽器の特性とかってことすら考えないまでに、楽器は何でもいいみたいな部分があって、だから、その中で自分のできることっていうのを底上げしていかなきゃいけないってのはもちろんあるんだけど、自分ができることの中で、別にそれが人差し指を使っていようが中指を使っていようが、足使っていようが肩使ってようが腰使ってようが関係ない、ようは自分が動いてるんです、みたいな感覚っていうのは、若い頃からすごい強いんだよね。いい面も悪い面もあると思うんですけど。世の中の楽器をやる人の多くって絶対こうではないと思うの。(*1)」
ト「そうだね。(*1)」
酒「だから、たまたまピアノというものとベースというものがあって、両方ずっと接してきてて、というのとは別に、気持ちや頭の、組み立て方じゃなくて流れているものとしては、僕とトオイはぜんぜん違うところにいると思うのね。というときに、別にどっちかをやりなさいどっちかを止めなさいという話では全然ないんだけど、整理の難しさみたいなことはよくわかるし、極論というか、ぜんぜんよくわかんないけど、どういう状況かわかんないけど俺がもしそれをジャッジしろと言われたら、『ベースをやりなさい』と言うだろうなと思う。(*2) でも別にそれはだからピアノがいい悪いってことでもなければ、」
ト「別問題だよね。」
酒「だいたいジャッジしろとも言われてないし(笑)、したいと思ってもいないので、僕が自分の意見として『こっちがいいんじゃないの』という事ではぜんぜんないですけれども。」
ト「まあ、なんていうかね、こう人それぞれでして。」
酒「そりゃあそうですよ。」

*1: そうだろうか。と後日自問自答その2。こう考えることと、ある特定の楽器に固執して熟達することは、表裏の関係にあるとも感じる。面倒な話にしてしまいそうなのでこのあたりにしておいて、ずっと考えていこうと思います。(トオイ)
*2: 自分でも何を言っているのかさっぱりわかりません。(酒井)



酒「トオイピアノって見るたびに印象違うんだよな。」
ト「あそう。」
酒「うん。」
ト「それは、たぶん技術的にとか心構え的にとか哲学的に、固まってないんですよまだ。」
酒「なるほど。」
ト「ていうかね、これは当たり前の話なんだろうけど、(演奏を) はじめたばっかの頃というか、人前でやるようになってしばらくくらいまでの方が、ぜんぜん迷いがなかったね。上手い下手とか、ベースとして機能できるできないとか別に、迷いがなくて。」
酒「あー。それってでも何でもそうじゃない?」
ト「つまり今は迷いだらけで、ちょっと困る部分もあるんだけどさ。」
酒「でもさ、それって何でもそうでさ、最初の闇雲な時期の良さっていうのは絶対あってさ、後から見てその時何もわかってなかったなーと思っても、何もわかってないが故によかった部分がぜったいあるわけよ。」
ト「そうそう。それはあります。」
酒「で、わかりだして考え出した時が一番しんどくって、その後どこに行くかだよね。」
ト「ただ、ベースの方がいいってことを言う人にしても、ピアノの時に良さが出るってことを言う人にしても、どうも感じるのは、『今さらかよ』って意見もあるんだけど、僕はどうもベースらしくないらしい。」
酒「ぎゃはははは。それ笑い話だよ。」
ト「ベースらしくないってのは言い過ぎだけど、あえて良く言えばつまり、こう、ソロイスト的とかさ、サウンドメイカー的っていうかさ。」
酒「だからまあ音楽家なんだよ。」
ト「うん。それも同じ意味だけど、だから、」
酒「や、それは結構どうでもいい話で、すごいくだらないことを言えばスコット・ラファロがベースらしいですか、って話でさ。ベースらしくないという言い方もできるし、ベースじゃんていう言い方もぜんぜんできるわけで。ベースらしくないっていうのがネガティブな意味で使われる場合っていうのは、それは音楽としての機能を成していない場合だけであって、音楽としての機能を成している以上、それが表層的な意味でベースらしいかという事はぜんぜん関係なくて。」
ト「だからね、極端な言い方だけど、どこにちゃんと殉じることができるかみたいな話ってのがあって。ベースとして、ベースを弾くことに殉じるっていうことが、たぶん想像し切れていないというか。昔より自分はだいぶそうなったとは思うんだけど、もちろん時期によっていろんな課題とか問題っていうのがあって。僕はベーシストにもしなるとしたら、これから、本気でならないとなれないな、っていうなんかどうしようもないことになったな。この発言、(ウェブ掲載するの) なしね。」
酒「ははは。いや、だから、それは音楽と一番遠い単語ではありますけど、マーケティングストラテジーだったりブランディングだったりするわけですよ。トオイダイスケという商品価値をどう上げていくかって話や、どういう仕事をするかって事で、どういう音楽を作るかって話とは全然別の話で --- ていう話はなんか会うたびに毎回のようにしている気がするけれども --- 僕は、あなたが、大神田 (智彦=b) さんみたいな意味でベーシストとして仕事をしてゆくというのは、それは難しいと思います。でも、それは難しくていいんだと思います。なぜなら、あなたの価値というのはそういうところにないからです。言う通り、もしそうしたいんだったら、いろいろ他にやんなきゃいけないこともあるかもしんないけど、他にやんなきゃいけないことって、"ベースらしい"ってのもそうかもしれないけど、営業力とかコミュニケーションスキルっていうのもあるかもしんないし、ってそういう話になってきちゃって、それはどういう音楽をやるとか、どういう所を音楽として目指すって話とは、全然違ってくると思う。」
ト「なんかね、そういうことを自分で選びとる段階っていうのが、あーこれもすごい甘いこと言ってんだけど、来てるなって思ってんだよね。なーんてね。」
酒「はははは。次いきましょうか。」
ト「はい。」
酒「今日、一個一個が重たいですね。」
ト「しょうがないよ。そういうことになっちゃったんだから。」
酒「2008年を振り返ってますから。」
ト「いつかいい思い出話になるといいね。」
酒「はははは。」



5. Virgo / 大口純一郎 『Big Smile』(2001)

ト「これもひとつの憧れです。大口純一郎。」
酒「あー。そうか。」
ト「まあでもね、身近なとこでは本当に憧れというか、素晴らしいと思うんだけど、最近、恥ずかしいことなんだけど、(自分の演奏に) これを求めてもだめなんだと思うわけですよ。やばいな、高校生みたいだな。」
酒「米木 (康志=b) さん、と (原) 大力 (=ds) さん?」
ト「ドラムは (本田) 珠也 (=ds) さんだね。」
酒「なんかレコーディングらしいレコーディングだね。つまんなくなってるとかそういうことではなくてね。」
ト「つくづく大口さんて、リズムっていうか、歌い方っていうか呼吸っていうかだなと思うね。もちろん他にかっこいいなと思うとこもいっぱいあるんだけど。」
酒「美しいものは苦しいよね。(*1)」
ト「んー。僕はそれは納得、全然するんだけど、果たしてそれでいいのかっていうのは、疑問としてすごくあって。僕も自然と苦しくなっちゃうから、まずはそれをなくそうと今は思ってるんだけど。」
酒「でもわかんない。これ生で見てたら笑顔かもしれない。」
ト「まあ、苦しいというか切ないというかそういうのを選びがちではあるしね。」
酒「あなたは特にそうね。」

*1: なんという大胆発言! (酒井)


酒「ボージョレーヌーボー♪ とかやってる場合なのかな。3時だよ。」
ト「ふふふ。」
酒「まあ、季節ものですから。」
ト「ありがとうございます。(飲む。) でもね、身近で誰かに憧れるっていうのは、楽しいことだなと思うよ。」
酒「うん。たぶんね、大口さんもちゃんと話したのって2008年がはじめてなんだよね。すごく素敵な人だなと思いました。」
ト「うん。素敵です。」
酒「それはなんか音楽だけではなくて、人込みで。」



6. 愛について / 矢野顕子 『Piano Nightly』(1995)

酒「おおおおお。」
ト「これはしょ君から教えてもらった。」
酒「この曲すごい曲だよね。」
ト「僕ね、未だ、元 (*1) を聞いていないのであれなんですが。」
酒「あ、それも08年だと思うんだけど、」
ト「見に行ったんだよね。」
酒「はじめてご本人が歌ってるのを見ました。」
ト「でもね、これと次で、だからちょうどまばら (*2) がスタートした時期とかぶってるんだと思うんだけど、歌ものを作るとかやるとかっていうことへのエネルギーになったね、これは。だから、このアルバムを教えてもらったというのはでかいです。」
酒「や、これはだめですよね聞かなきゃ。あ、俺こういう事を言わないようにとずっと思ってるんですけど、XXは聞かなきゃだめだよみたいな言い方って、すごく自分で嫌いなのに使いがちなんだよね。これは気をつけなきゃいけません。」
ト「そうだね。言葉には気をつけるというのも、僕も今年の課題です。今年っていうか一生だけど。」
酒「はははは。人に指を指すのも気をつけるとかねw」
ト「そうだねえ(苦笑)」

*1: オリジナルは友部正人 (=vo,g) さん。
*2: "まばら"は、08年に活動を開始した、トオイダイスケと岡崎恵美(vo,etc.)2人によるユニット。




7. New Song / 矢野顕子 『Piano Nghtly』(1995)

(酒井が以前、山崎豪 (=p)くんと一緒にこの曲を演奏したことがある、という話から、山崎くんの思い出話になりました。しばらく割愛。)
酒「というわけで僕は人一倍彼の今後を楽しみにしているわけですけれども。」
ト「でも、持ってる豊かさというかさ、たたえているものというのは、関口 (慎悟) くんとか山崎くんていうのは、たぶん同じようなかんじだと思う。」
酒「うん。そうかもね。」
ト「で、僕は、そういう人は、好きというか、いいなと思う。やっぱり。」
酒「いいなと思いますよ。」
ト「自分もまあ、そうなりたいですね。ほんとに。あ、ようやくテーマらしい話になったじゃん(笑)」
酒「はは。でもなんかそれはどっちが良いではなく、トオイダイスケはまたちょっと違った性質で違った良さなんだと思うけどな。」
ト「逆インタビューになるけど、それはどういうことなんだろう?」
酒「なんだろう。難しい。またどっちとも言えるって話になっちゃった。より自我が強い世界が強いという言い方もできるし、逆によりフカンだという言い方もできる。」
ト「フカン? フカンて、over view?(*1)」
酒「そう。俯瞰。」
ト「俯瞰……。」
酒「俯瞰というか、見ているユニヴァースが大きい(笑)みたいな言い方もできるかも知れない。(*2)」
ト「うーん。まあ双子座ですから。」
酒「ははは。」
ト「("見ているユニヴァースが大きい"のか、単に浮気性であることの表れが俯瞰的に見えるだけなのか、) どっちかわかりません(笑)」
酒「出た、星座(笑)。俺、魚座(笑)」
ト「僕ね、魚座は仲良い人というか、(いっしょにいて) 楽な人が多い(笑)」

*1: 酔っています。(トオイ)
*2: 僕も酔っているみたいです。(酒井)




8. つがる / まばら (2008)

* この曲はvol.9に既に収録されていますが、別テイクなのでルール上も問題なしとします。

ト「まあ08年は、この年だった、というのはでかいですね。」
酒「そうですね。」
ト「こういう曲が作れたってのは、僕は結構、自分では、意外なうれしい驚きだったりする。」
酒「なるほどね。まばらっていうものが面白いのは、いろんな要素があるんですけど、今の話で言えば、トオイの引き出しというのは、確かに興味深い。で、一番いろんな種類のことをやって破綻がないフォーマットじゃないですか。」
ト「まあね。……それは、二人ってことが?」
酒「人数だけではなくて。人数もそうかもしれないけど。」
ト「……つまり、(まばらにおける) 作る人のポジションがってこと?(*1)」
酒「うん。」
ト「まあ、破綻はしづらいよね。(*1)」
酒「そうそう。だから、既に世の中に出ているまばらの曲だけで、かなりレンジは広いと思うんですよ。考え方の。で、また自分話になりますけど、僕は狭いんですよ。」
ト「ふひひひ。(*2)」

*1 破綻しづらいかどうかはともかく、まばらの曲作りの基本フォーマットは、岡崎作詞→トオイ曲をつけてデモをつくる→両者でアレンジ、が現状多いです。(トオイ)
*2 酔っています。(トオイ)


酒「僕は (と言ったけれども) っていうか、基本的に (誰でも) ソングライティングって狭い (ものだと) と思うんですよ。だいたいどのバンドも3枚くらいアルバムが出ると、メロディの中の一部のフレーズに同じものがぜったい出てくるわけだし、その人っぽい進行のパターン (や) 展開のパターンてのがぜったい出てくるわけですよ。で、なぜ世の中のいろいろなアーティストのファースト、セカンドが良いかっていうと、初期衝動と、初期衝動の延長線上にある同じ段階でたまったものだから良いわけで、で、ていうところを越えたときに、自分の思いつけることの限界みたいなものが絶対見えてきて、それをどう昇華してゆくかっていうことでその後が決まるっていうのは、売れ方売り方の話じゃなくて内容の話として絶対あると思っていて。」
ト「うん。」
酒「例えば、(スピッツとクラムボンについての長い一人語りがはじまってしまったので、割愛します) ……わけですよね。っていうときに、今のまばらの、この、雑多とも思わないんだけど、レンジの広さ、で、レンジの広さで破綻がないかんじっていうのは、ある種トオイダイスケというものの、懐の底を見る楽しみが、ちょっとある。」
ト「まあ今の話を要約して僕が返事をすると、今後が勝負だなってことなんだけどさ。」
酒・ト「(笑)」
ト「ほんとそうなんだよね。ほんと今後が勝負ですよ。」
酒「でも逆に、今こんだけ広いから、これから先に、決定づけられてゆくということはあるかもしれないよね。限りが見えるってことじゃなくて、『ああ、こういうことだよね』っていう落としどころが見えていかなきゃいけないし、いくだろうなっていう。」
ト「そうそうそう。落としどころがぜったいいるな、っていうのは。」
酒「でも、落としどころ以前の可能性がいっぱいあるっていうことがさ、フレキシブルなフォーマットだってことと相まって、すごく、うらやましいよね。」
ト「うらやましいか。」
酒「うらやましいって言っちゃった」
酒・ト「(笑)」
酒「や、嫉妬しているのは僕ではなくて案外 (=g, etc あしのなかゆび) さんです(笑)」

ト「なんだろうね。これはさらに難しい問題もあるんだけど、まばらのひとつの、あくまでまあ、メンバーがここにいないのに言っちゃうけど、僕のなかにやっぱりあるひとつの活動の軸みたいな考えとしては、"作家性" (* ソングライターとして活動したい、くらいの意味) ってところがあるから。作家性の追求というと言い方が大袈裟なんだけど。ただあとは、今年ライブを重ねたり、秋元 (勇気=vo, g citta) さんに入ってもらったりも含めて思ったのは、それを、パフォーマンスとしてやるっていうことの難しさっていうか、そういうポイントはもちろん、音楽でしかも自分が演者でもあるっていう点から言うとあるのは当然なんだけど、でも、作家性をすごい大事にするっていうか、それをやる場であるっていうことは絶対あって、でここで言うのもおかしいんだけど、そういう意味ではいい場だなーと思いますよ。」
酒「ははは。や、いい場だと思いますよ。」
ト「うん。まあ、これからだと思うんですけど。本当に。」
酒「いい場だと思いますよ(笑)」
ト「(苦笑)」

ト「つくづくね、僕はね、だから演奏っていう行為とさ、作曲っつーかさ、言い換えれば、動くことと、動きを残すっていうかさ、その2タイプがあるじゃない。やることには。」
酒「(脈絡なく、伸びた髪をゴムで結んで) ついにおだんごができるようになりました。」
ト「へへへ。うん。だから僕は、おだんごを作る過程を見せたいというよりは、おだんごを作って提出したいんだと思うんだよね。」
酒「はははは。」
ト「活動したいスタンスとしては。」
酒「あーいやでも、それって、あくまでライブかレコーディングかって話で、曲を人に書くって話じゃないと思うよ。」
ト「うーん。」
酒「なぜかというと、まばらの中でかあなたの中でかわかんないけど、(まばらの、乃至トオイの) 音楽っていうものが、流れの一貫性の中でできていて、モチーフを提供するということでもないし、なんだろう、それが生か録音制作物かはともかくとして、最終的にアウトプットされるフォーマットまで、自分の考え、思惑というものが --- まあ演奏っていうのは末端だっていう考え方もできるわけじゃないですか。そういう意味でいったら、(末端である演奏) というところにまで (考えや思惑を) 反映しきれてないと、思ってるのと違うものになると思うから。」
ト「まあね。」
酒「だからそれは、すごく器用なスタジオミュージシャン (を雇って録音・演奏する) みたいな考え方ももちろんなくはないんですけど、でも、ていうことではなくて、やっぱり、あれ (=まばら) は、作曲家ユニットではなくて、一緒に音楽を二人でつくるものであって、少なくとも人に提供するものを作るものではないと思うけどね。」
ト「まあ"まばら"という意味で言えば、そうだよね。うん。」
酒「の方がいいと思うよ。」
ト「うん。まばらはそうだね。」
酒「という意味ではやっぱりソングライター集団ではないんだよ。バンド・ユニットなんだよ。」
ト「おう。(読んでいるであろう岡崎恵美ちゃんに向かって) だって(笑)」



9. ちかみち / まばら (2008)

ト「今年の目標のひとつは歌をうまくなるってことかな。」
酒「(例によって酔っぱらいで口ずさむ)」
ト「コーラスあとで教えてあげるよ(笑)。自分でデモを録るなり何なりで、多重録音の楽しさがわかった年ではあります。」
酒「うん。ほら、(一人で多重録音すると) うま味が出まくるから(笑) (*1)」
ト「一人でトータルで (=全パート自分で演奏したデモを) 作ると、ベースがこうなってるのがおかしくないんだよ。(*2)」
酒「うん。わかるわかる。」
ト「それが自分で苦笑しちゃうね。」
酒「なんで?」
ト「あまりにも、俺はこう弾きたいっていうか、バンドでの役割配分ていうか在り方をこう考えてるんだなって。で、一人でサウンドをそこまで想定した上で、人とやるときもやってるから、トラブルがおきるわけ。」
酒「あー。」
ト「(各パート及び全体に対してのアイデアやイメージを) 浮かばせすぎなんだよね。要は。」
酒「なるほどね。おおむかしにさ、全部のパート自分でできたらいいのに〜みたいなことをふらって言ってさ、(松尾) 由堂 (=g) さんに『そういう奴はバンドできねえんだよ』って言われた(笑)」
ト「そう。そうなんだよね。そういうことだよ。僕はベースを始めた時点では、ドラムが根底を支えてて、ベースが (ヴォーカルや管楽器やコード楽器との) その間をいるもんだと捉えてたから、ほんとは世の中的にはそれは逆 (=ベースが根底) なんだって最近知ったからね。恥ずかしながら。」
酒「それは世の中的には逆かどうかなんてものはない、んじゃないの?」
ト「ほんとはね。だから、主従っていうのもほんとはないんだけど、でもそれは一人一人、自分の音楽をつくろうとする人一人一人の考え方の問題だから。まあいろいろ思うところはあるけど。」

*1: 自身の多重録音に対する菅野薫 (=g Afro13/SUPHY) さんの発言を根に持っているようです。(酒井)
*2: ここで聴いているのは、この曲のデモヴァージョンです。(トオイ)




10. 木曜日の椅子 / まばら (2008)

酒「この曲は本当にいい曲だよね。」
ト「あのね、恥ずかしながら、いろいろ聴き直して、(まばらで自分がつくった曲のなかで) これが一番いいなって最近思った(苦笑)」
酒「これが一番いいと思うよほんとに。」
ト「ていうかね、まばらのまばら性が一番でてる気がする。結果的に何かに似ているという印象にはなりにくい曲にはなったな、というのは、今思うと、ある。(*1)」
酒「何かに似ているという印象になりにくい曲、っていうことだけが、奇跡だからね。世の中にメロディと進行は出尽くしてるわけだから。」
ト「うん。空気公団とか何とか言ってるけど(*1)、まあちゃんと、これはこれ、には一応なったかなとは。」
酒「あと、こんだけいろいろなことが起こるのに、そこに無理がないということだよね。まして詩先でしょ?」
ト「うん。」
酒「『詩にあわせてつけたら繰り返しができませんでした』という感じに、まったく聞こえないじゃない。」
ト「まあ恵美ちゃんがどう思って詩を構成したかという問題もあるけど、僕はね、前にも言った記憶があるが、詩先の方が、なんかね、作れる気がするね。うたものに関して言うと。」
酒「これも前にも言いましたけど、(あしのなかゆびの) 案外さんは、その中間をやりたいんだよたぶん。」
ト「中間?」
酒「詩先でも曲先でもないもの。でもそれが、最もやりづらい、できない、嫌だと (恵美ちゃんに) 明言されているから、アレなんですけどね。(*2)」

酒「でも逆にこういう曲だったら、他の人が弾いてもいいかもしれない!」
ト「ああ。そうかもね。カバーされたら単純にうれしいってのもあるけど、興味深いね。」
酒「まあカバーするのは難しいよね。いっぱい定義されてるから。まあそれはカバーというものの考え方によるけど、カバーというもののセオリーとしては、ほんとは、意外性がなくてはいけないと思うわけですよ。そのまんまやって別物になるっていうのは、もちろんなるんだけど、受け取る側も (そのカバーヴァージョンの雰囲気を能動的に汲み取ろうとすることに) センシティブじゃなきゃいけないわけで。」
ト「まあ、そういう要求はたしかにあるかもね。」
酒「もっと簡単に言っちゃえば、そのまんまやって、歌ってる人が違う人になったからと言って、何が面白いの?って話になるわけですよ。それはね、なんかわかんないけど、"Take The A Train"をビョークが歌いましたっていったら面白いと思うけど、そういう次元になんないと、面白いとぱっと思わないわけですよ。」
ト「あー。」
酒「鈴木あみの曲を安室奈美恵が歌ったって、って違うな。これは全然違う話だ。なんだろうな。(*3) ようはだから、変わった感じがなきゃいかんちゅーことですよ。て考えると、この曲は、変わった感じにしようと思うと、わざと狙って違う風にしようとした感じに絶対なるし、かといって素直にやっても、歌がさしかわったってレベルだったら元を聞けばいいじゃんて話になるし、これ (=「木曜日の椅子」) は、良いカバーをするにはすごく難しいモチーフだと思います。」
ト「あーなるほど。」
酒「今言ったのはそういう意味じゃなくて、少なくとも生では人間はひとりしかいないわけで、例えばあなたがベースを弾いた場合に、誰かがピアノを弾いて誰かがギターを弾いてということがワークする曲だと思います、という事は逆説的に言えるよね。」
ト「ああ。おお!おー。」
酒「ということ。」
ト「ほおー。ノーコメント(笑)」
酒「(笑)」

*1: 当初は、作りながら、「空気公団に似ているな」と思っていた。雰囲気やアイデアの出発点として空気公団をイメージしたこと自体は事実。(トオイ)
*2: 岡崎恵美ちゃんは"まばら"にも"あしのなかゆび"にも参加しています。(酒井)
*3: 我ながらひどい。(酒井)




ト「で、終了でございます。」
酒「いいCDでした。」
ト「やっぱあれだね。聞く人にどういう気持ちというか、どういうアレを呼び起こさせようとか、それは音楽、曲の話だけじゃなくて、もしくは、MCとか場づくりとか、そういうのも含めてってとこまで、どんだけ考えるかっていうこと、っていうのはさ、僕は相当無い方だったから。今も無いけど。だからね、今年の目標だけど、そういうことを考えようと思うんですが。考えるっていうか、なんていうのかな、まあほんとは当たり前の事なんだろうし、どう楽しませるかってことなんだけどね。それってその人の在り方っていうかさ、自分が何をしたいかからの延長であるというか、完全に別にはたぶんほんとはできないじゃんか。それを聞く人に対してどう楽しませるかっていうのは、僕ね、つくづくね、あー。高校生、や、中学生だね。人の立場に立って考えるってことができないんだね。(*)」
酒「(笑)」
ト「ぼくは、人の立場に立って考えることができませんでした。できていません。」
酒「(笑)」
ト「気をつけます。09年は頑張ります。」
酒「いやいやいや。それは一生懸命考える人と考えない人がいていいんだと思います。」
ト「考えないなら、ちゃんと考えない。」
酒「そうそうそう。」
ト「というふうになろうと思います。」
(この後、しばし案外さんの生き方について、ダメの出し合いが続くので、割愛。)
酒「だから、今言っていたような話っていうのを、オナニー全肯定っていう文脈で言っているわけでは全然ないの。(*2)」
ト「うんうんうん。それは、わかるよ。」
酒「でもそれが、オナニー全肯定っていう文脈に聞こえてしまったらいけないわけで。うーん、まあ言ってること変わんないな。言い方が違うだけで。」
ト「ううむ。」
酒「今年は、逃げずに向かい合う人でありたいですね。僕も。案外さんも。」
ト「なんかね、ちゃんと、やわらかく、こう、クールになろうとは思っております。」

*1: 今思えばずいぶん中学生、高校生に対して失礼な発言だ。ごめんなさい。(トオイ)
*2: 自分ときちんと対峙してそれをきちんとアウトプットすることと、俺はこれでいいやと開き直ることは違う、みたいな、いつもの話です。(酒井)



酒「はははは。どんな2008年でしたか?」
ト「うーん、まあ、ズタズタでした。」
酒「そうかなあ。」
ト「わかんない。そう言ったら毎年ズタズタなんだけど(笑)」
酒「(笑)」
ト「なんかね、ただ、例えば"ズタズタ"という名の彫刻を彫る、としてさ、今年できたズタズタっていう形の彫刻は荒かったり汚かったりするわけだから、来年はもっときれいで、きれいでって言うか、外から見てきれいで、美しい、あ、美しいって言ったらバカだな。なんていうの。真っ当なズタズタにしたいと思います。」
酒「(笑)」
ト「何を言ってるんだか(苦笑)」
酒「と、まあ、そういうわけで、」

酒・ト「一年間お付き合いいただき、ありがとうございました。来年もまた宜しくお願い致します。」




次回 しょ→トオイのお題:「酒井匠的ベスト スピッツ編」