vol.1 しょ→トオイ
最近聴いてるやつ



<しょ の選曲>
1. グストーゴフの森 / nenem 『Cool Dawn Place』(2008)
2. マニュアル / スチャダラパー 『con10po』(2006)
3. カリカチュア (album Ver.) / music from the mars  『summery』(2005)
4. Married Man's A Fool / Ry Cooder  『Paradise And Lunch』(1974)
5. パライゾ / Dixie Pork  『Indian Summer』(2002)
6. Civil War / Joe Henry  『Civilians』(2007)
7. ぴあの / 原田郁子  『気配と余韻』(2008)
8. ぼくはくま / 宇多田ヒカル  『ぼくはくま』(2006)
9. Peace / Altered States  『Plays Standards』(1999)
10. Life Between Sunshine / music from the mars  『summery』(2005)
11. 5 cups / スチャダラパー 『con10po』(2006)

2008.5.20.
酒井匠


<トオイの感想>
どうも。おもしろい企画がはじまって、うれしいです。
結局どうにも引っ掛かったのは、M-3「カリカチュア」/music from the marsでした。
引っ掛かるというのは、たぶん分裂した気持ちというか、二重の意味があって、ひとつは聴いているとすごくクールですましているようにぼくには思えてかっこいいな、という気持ちと、もうひとつは、音もことばも雰囲気も、何か不穏な感じがする、という気持ち。
不穏といっても、あからさまに不穏だったり危険な綱渡りとかいう感じでは全くないから、むしろきわめてポップな感じがするから、それなのに聴いていると不安な気持ちが胸のあたりを満たし始めてくる。
今回しょくんにもらった曲とは違う曲をあげてしまうけど、キリンジ『3』、とくにそのなかの「グッデイ グッバイ」「アルカディア」「千年紀末に降る雪は」とかを聴いても、似たような気持ちを持つことがある。こっちは、ちょうどこの曲たちをよく聴いていた2001年の夏から秋にかけてを思い出すから、個人的記憶が大きく作用してセンチメンタルになっている部分もあると思うけど、それとは別に、何か、「カリカチュア」も含めて、ここに共通しているのは、つまらない言い方だけど、2000年代的な情景という感じがする。
本当に全然おもしろくないかつ誰かがすでに適当に言ったかもしれないことだろうけど、 むかしの音楽は、どれだけ血生臭くて欲望に突き動かされていても、聴いていると暖かさや安心感というか、肌の匂いや温度が伝わってくるんだけど、これらの今の音楽は、そういった感覚になることはなくて、そしてそれがだめだということでは全然なくて、人の感覚や眼や欲望の位置が少し変わったというのか、やっぱりこの言い方しかできないんだけど、違う方法の性交を行っている感じになる。
今まで言ったことをまとめると、不穏=不安=2000年代=異なる体位、ということになってしまって、何だか困ってしまうのだけど、うーん、ぼくはとにかく置いていかれている気がするんです。
自分もこの時代にいるのに、このサウンドやエネルギーに置いていかれていて、さらに同時にかっこよさやある種の憧れやおしゃれさ(!)すら感じているのに、異なる穴や向きであることにくらくらしていることしかできていない自分に困っている。
こういうふうにしか言えないのも情けないけれど、音楽・感性的に異なる穴にも棒にも向きにも自由に変化できる感性をいつか持つことができるようにならないとな、と感じさせてしまう曲だった。
と、小学生の読書感想文みたいなまとめ方というかひとりごとです。ああ。うん。。
中上健次も松浦理英子もまともに読めていないことを思い出した。

2008.5.27.
トオイダイスケ


次回 トオイ→しょ のお題:「しょ が持ってなさそうなやつ」